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執筆者の写真ERIKA MIKI

その先



火曜


疲れ果てて寝たものの

夜中の2時に目が覚める

色々整理しながら再度

腹が立って眠れなくなる

朝まで頭の中でブツブツ考える


朝事務仕事をして

お昼前に自分の左足骨折後の検診を受け

そのまま弟の病室へ行く


たまたま母親とすれ違いになったようで

弟のみが病室にいた


パイプ椅子を近づけ

弟に話しかけようとすると

眉が上がり

わずかに目が開く


来たよー

と声をかけ


どんな思いで事業を立ち上げたのか

どんな風になっていきたいのかなどを

ゆっくり伝える


重たい肉体を脱いだら

軽い魂になって

お父さんとまた散歩に行くといいよ

お母さんの様子も見にきてあげて

私の所にも時々で良いから手伝いに来てよね


彼の目頭に涙が溜まっている

それを拭おうと指で触れると

瞼がピクッと動く


手はもう握っても反応がないけれど

顔面は鎮静で遠のいている意識の中でも動かしてくれる


苦しくて悲しくて

沼の中にいたような重たさだったけれど


もう弟の最期に立ち会えなかったとしても

たとえいつその日が来ても後悔はない

苦しみも悲しみも

ほぼ無くなった


なぜか分からないけれど

ふわっとなくなった

あんなに泣いていたのに

名付けるならば

瞬間涙腺崩壊期だったのに


強がりや

諦めや

薄情さとか

そういうものではなく


紛れもなく私は生きていて


彼は私の中にいる

これからもずっと


ああ


本や映画で見聞きしあことのある

よくある台詞な気がする

綺麗事でなく本当にこういう感覚になるんだなと


言葉に含まれる感覚が

体験して初めてわかる


弟と2人きりで話ができてよかった



弟を通じてもらったものが沢山あって

伝えたいことも

渡したいものも溢れている


一緒に悩んだり

胸を痛めて

苦しんだり泣いてくれた方


私は元気になりました

きっともう大丈夫です

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