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執筆者の写真ERIKA MIKI

2022,1,30                       

教室が終わってから弟に

はちみつのラベルを書いてもらいに実家に行った

長い入院からようやく帰ってきていた


「やしまのはちみつって書いて」と頼むと

力を振り絞って書いているようだった

書かせなくても良かったけれど

書いて欲しかった


書き終わってから少し会話と言うほどでもない空気の中で

彼の目は赤く涙で滲んでいた


理由は尋ねなかった

久しぶりに会えて嬉しかったのかもしれないし

傷が痛いのかもしれない

ただあくびを我慢しただけかもしれない


背中の褥瘡は2箇所

とても深かった


1箇所は麻痺のない部分に穴が空いていて

そこが痛いらしいが


弟はどんな時も痛いだの

苦しいだの

不平不満を言わなかった


そんな人間がいることが不思議だ


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