教室が終わってから弟に
はちみつのラベルを書いてもらいに実家に行った
長い入院からようやく帰ってきていた
「やしまのはちみつって書いて」と頼むと
力を振り絞って書いているようだった
書かせなくても良かったけれど
書いて欲しかった
書き終わってから少し会話と言うほどでもない空気の中で
彼の目は赤く涙で滲んでいた
理由は尋ねなかった
久しぶりに会えて嬉しかったのかもしれないし
傷が痛いのかもしれない
ただあくびを我慢しただけかもしれない
背中の褥瘡は2箇所
とても深かった
1箇所は麻痺のない部分に穴が空いていて
そこが痛いらしいが
弟はどんな時も痛いだの
苦しいだの
不平不満を言わなかった
そんな人間がいることが不思議だ
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